まだ大丈夫と食べ過ぎて、気づけば体重が増加した。つい夜更かしして、寝坊した。
「もうちょっとだけ」「まだ大丈夫」…誰でも経験あるでしょう。
これらと同じように、面倒な部屋の片付けを怠って、いつも以上に散らかってしまった…部屋が汚くなっても「まとめて掃除するからいいや」と思ってしまいがち。
「まだ大丈夫」は、ゴミ屋敷にまで悪化してしまう原因の一つでもあります。
大きな問題を引き起す、賃貸マンションのゴミ屋敷。
住まいが賃貸マンションの場合、部屋のゴミ屋敷化は問題をもっと悪化させてしまうかもしれません。
賃貸マンションのゴミ屋敷は、どのような問題の深刻化があるのでしょうか。
賃貸マンションのゴミ屋敷問題
賃貸マンションのゴミ屋敷は、強制退去はもちろん、原状回復費用を請求される可能性があります。
賃貸マンションはその名の通り、部屋を借りているだけ。当然、自分の所有物ではありません。
通常は『普通の暮らしの中で、部屋の汚れや傷みの修繕費用』は、保証金からの敷引きや毎月支払う家賃でまかなわれます。
国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
出典:国土交通省
ただし、ゴミ屋敷と化した部屋では『通常の使用での損耗(そんこう)・毀損(きそん)』以上の状態にさせます。
- フローリングや畳の腐敗
- カビや害虫のすみかとなる床・壁
- 排水管やあらゆる箇所の傷み
人が住んでいない家が老朽化するように、ゴミ屋敷も通常の生活以上の劣化を引き起こす原因となるんですね。
その状態は、住んでいるマンションの部屋だけではなく、周囲の部屋にまで悪影響を及ぼします。
ゴミ屋敷になっても『汚くしているのは、自分の部屋だけだから問題ないだろう』では済まない問題なんです。
賃貸マンションの原状回復費用は?
現代では一人暮らしの方も増加し、保証金・敷金が必要ないマンションも増えています。
保証金がある場合、マンションから退去する場合は、その中から『敷引き』という形でまかなわれます。しかし、それ以上の費用がかかれば、当然請求されますね。
礼金だけでマンション入居した場合は、退去の際請求された原状回復費用を全額支払わねばなりません。
- 6畳間のフローリングの張り替え
- クロスの張り替え
- 内装の塗装費用
このように、通常範囲内の修繕だけの場合は問題ありません。
床下の木材やコンクリートまで劣化していれば、莫大な費用を請求される可能性があるでしょう。
マンションで自分の住んでいる部屋だけをゴミ屋敷にしただけで、100万以上の原状回復費用を請求されるおそれがあるんです。
ゴミ屋敷の度合いはもちろん、そのマンションの原状回復の定義によっても大きく開きがあります。
隣・上下の部屋への影響含め、それだけでは済まないかもしれません。
実際に、賃貸マンションのゴミ屋敷原状回復費用で、350万請求されている事例もあります。
現在、原状回復費用について約350万円の請求を受けております。内容は、害虫駆除、悪臭除去の薬剤散布、使用できなくなった風呂やトイレ、畳の交換、虫に食われた壁や天井の補修です。
この方は、お母さまのゴミ屋敷問題で相談されています。保証人になってはいないが、連帯責任を問われ請求されてしまったようですね。
賃貸マンションのゴミ屋敷強制退去
マンションのゴミ屋敷はその部屋だけでなく、マンション全体の老朽化の問題になります。
当然、貸主はゴミ屋敷の住人へ退去を求めますね。
マンションの強制退去を求めるには、さまざまな問題が生じますが、最終的には追い出され住居を失ってしまいます。
さらにゴミ屋敷から生じた悪臭や害虫被害により、隣の入居者からのクレームはもちろん、退去してしまう可能性もありますね。
ゴミ屋敷の部屋があることにより、マンション価値の低下につながり、損害賠償を請求される確率も高くなります。
ゴミが増えてきても「まだ大丈夫」「そのうち片付ける」という軽い気持ちから悪化したゴミ屋敷が、このような大きな問題へ深刻化してしまうんです。
マンションのゴミ屋敷からの火災
部屋の中にゴミが溢れている状態は、火災を起こす原因にもなります。
自分のゴミ屋敷の部屋が火災になり、その他の住居者が被害を受けた場合、賠償請求は免れないでしょう。
日本には、火災を起こしてしまった方への責任を軽減する法律『失火責任法』があります。
しかし『失火責任法』は、『重大な過失』あれば適応されません。『重大な過失』は、『未然に防げる火災の要因を見過ごした状態』です。
- 危険だと知りながら、ファンヒータの横にスプレー缶を置いていた
- 暖房器具を付けっ放しで外出した
- ガスコンロに火をかけたまま就寝した
注意しておけば未然に防げる場合は、全て重大な過失になります。
ゴミが溢れかえっているゴミ屋敷は、火災を未然に防げる注意を怠っている状態ですね。
そのつもりがなくても「故意に火災を引き起こそうとしていた」と言われても反論できないでしょう。ゴミ屋敷は、自分の部屋だけでは済まない問題なんです。
賃貸マンションだけでなく、分譲マンション・戸建住宅でも同様です。
ゴミ屋敷になる前に対処を!
ゴミ屋敷は自分の健康を阻害するだけではなく、さまざまなトラブルを発生させます。
少しでも、自分の部屋がゴミ屋敷になっていると感じたなら、すぐに片付けをしましょう。
また家族や友人の部屋の状態があまりにもひどいと感じれば、掃除の手助けをしてあげましょう。
その際、自力でゴミ屋敷の掃除を行えない場合、ゴミ屋敷回収業者の選び方にも注意が必要です。