ゴミ屋敷にする心理…ごく通常では、全く考えられない行動です。

ゴミのある生活は、決して清潔とは言えません。ほとんどの方が快適には過ごせないでしょう。

しかし、ゴミや物が散らかっている生活に慣れてしまうと、特に気にならなくなってしまうのが人間です。

ただ、そう簡単にゴミ屋敷にはなりません。

心理的に、何らかの問題がある…いわゆる『病気』のせいで、ゴミ屋敷にしなっている可能性の方が高いと言えるでしょう。

では、いったいどういった病気が原因でゴミ屋敷にしてしまうのでしょうか。

ゴミ屋敷にする人は病気!?

病気がゴミ屋敷にする原因とはいえ、ここで言う病気は『身体的な病気』ではなく『精神的な病気』です。

精神病・精神疾患と言えば聞こえが悪く感じるでしょう。

ですが、ストレスを抱えたつらい状態は、大なり小なり誰でも経験ありますよね。ストレスも精神病のきっかけの一つです。

悩み事があると眠れない・食べられない、たとえ軽い症状だとしても、脳の疾患を起こす原因になります。

その状態が悪化すると、人は耐えきれなくなってしまうんですね。

軽い症状が病気を引き起こし、ゴミ屋敷にまで悪化させる場合があります。

うつ病

現代病ともいえる、うつ。うつ病で苦しむ方は、右肩上がりに上昇しています。

厚生労働省の発表によると、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、平成23年320万人という膨大な人数。

参考:厚生労働省

この平成23年の調査は、宮城県の一部と福島県を除いた人数です。

さらに世界保健機関(WHO)の発表では、うつ病に苦しむ方が2015年推計3億人を突破しました。

参考:日本経済新聞

うつ病は、一般的な精神疾患になりつつあり、決して他人事ではありません。

うつ病は自殺の増加はもちろん、ゴミ屋敷の原因でもあります。

強迫関連症候群(強迫スペクトラム障害)

強迫関連症候群はいくつかに分類されますが、その中でも『ためこみ障害』があります。

  • 物がなくなってしまうのではないかという強迫観念
  • 物を捨てられなくなる強迫行為

若かりし貧困時代の経験から、高齢者が『物を捨てると、貧乏になる』という感覚のようなイメージもあります。

それがエスカレートすると、強迫関連症候群になってしまう可能性も考えられます。

強迫関連症候群は、うつ病も発症させるケースがあります。

全般性不安障害(不安神経症)

 全般性不安障害は、常に不必要な不安や心配を抱える病気。

一般的にはありえないことまで不安にかられ、ゴミ屋敷になるケースがあります。

  • ゴミを捨てに外へ出ると、雷にうたれて死亡するのではないか
  • この生ゴミを捨てると、2度と食べ物が手に入らなくなり、食べれないかもしれない
  • 個人情報が盗まれ、ストーカー被害に遭うかもしれない

必要以上に不安を抱え、心配性の度を超えた状態です。強迫関連症候群とも大きな関わりがあります。

適応障害

うつ病の症状と似ている病気、適応障害もゴミ屋敷の原因になります。

日常生活の変化やストレスが元で、不安感を感じる現代病とも言えます。

  • 意欲の低下・情緒不安定
  • 食欲不振・倦怠感
  • アルコールへの依存・攻撃性

掃除や片付けさえできないほどにまで悪化させ、最終的にはゴミ屋敷化するケースもあります。

統合失調症

統合失調症の陰性症状も、ストレスや疲労が原因で精神的な不安を呼び起こし発症する病気です。

  • 適切な感情がわきにくくなる
  • 目的を失い意欲が低下・無気力になる
  • 何かを目的とした行動が起こせない
  • ひきこもった生活になる
  • 思考のまとまりが悪くなる

通常の人にある『感情を伴った行動』を起こせない病気なんですね。

統合失調症は、物を溜め込む症状も起こします。物を溜めこめば、行く末はゴミ屋敷ですよね。

外に捨ててある粗大でさえ、家の中に持ち込むケースもあると言われています。収集癖のある方の悪化です。

セルフネグレクト(自己放任)

セルフネグレクトは、高齢者や子どもに対して無視や放置をするネグレクトを、自分に向けたもの。

意欲をなくし、普通にできていた身の回りの事さえできなくなってしまいます。

  • ゴミを捨てない・片付けない
  • 入浴しない・食事もおろそかになる

セルフネグレクトが招くのは、大変不衛生なゴミ屋敷です。

生ゴミであっても放置するため、害虫が発生。悪臭はもちろんさまざまな悪影響で、近隣にも迷惑がかかります。

本人は、どれだけの汚部屋であっても気になりません。

ADHD(注意欠如多動性障害)

注意欠如多動性障害は、注意力に欠けていたり、落ち着きのない多動性の行動が特徴的な発達性障害の病気です。

自分自身でも理解している場合が多く、子どもの頃から悩まされているケースがほとんど。

同居している両親が亡くなり1人になると片付けができず、結果ゴミ屋敷につながる場合もあります。

遺品整理さえできないまま、物が溢れ片付けられなくなればゴミ屋敷になっても当然と言えるでしょう。

遺族の死を悲しむあまりに、うつ病を併発すればますます悪化。決して怠けているわけではありませんが、周囲からは誤解されてしまいますね。

別居がゴミ屋敷のはじまりの場合もあります。

認知症

現代の大きな社会問題になっている、認知症もゴミ屋敷の原因です。

認知症にもさまざまな症状がありますが、記憶力の低下や思った事を行動できないと、ゴミさえ捨てられません。

高齢者の方が、ゴミ屋敷で亡くなっているケースがあるように、自身ではどうしようもない病気です。

またストレスの多い現代では、若年性認知症も発症しています。

認知症は年齢だけが原因ではなく、ストレスが引き金になり発症する事例もあるんです。

病気が原因のゴミ屋敷はまず治療

家族・親戚・友人がゴミ屋敷にしている場合、病気の可能性も考えなければなりません。

本人も苦しんでいたり、何もわかっていないかもしれないからですね。

人の精神的な病気は、1人では立ち向かえないもの。病気が原因であるなら治療して改善できます。

まずは病院で受診させてみましょう。

病気が引き起こすゴミ屋敷問題は、本人だけでなくさまざまなトラブルの原因になります。
健康だけを考えるだけでなく、このような問題も踏まえておいた方がいいと言えますね。

【家族のゴミ屋敷】いったいどうすればいい?トラブルになる前に対策を!